いじめで内容証明を送る場合に知っておくべきポイント(学校宛て/親宛て)

子どもが学校でいじめられていることがわかったとき、親としてできることのひとつに、いじめた生徒の親や学校に対して内容証明を送るというものがあります。

こちらのページでは、そんないじめで内容証明を送る場合に知っておきたい、以下のポイントについて解説しました。

■いじめに対する損害賠償請求の法的根拠(相手の親/学校)

■いじめで内容証明を送る意味(効果、メリット)

子どもが受けているいじめで内容証明の送付を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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いじめの責任は相手側の親や学校に問える?

まずは、子どもが受けたいじめについて、いじめた子の親と学校に問える責任を見ていきましょう。

いじめた加害生徒の親が負う責任

まず、いじめは民法上の「不法行為」にあたり得ます。そのため、不法行為が成立する場合、加害生徒本人には、不法行為に基づく損害賠償請求が可能です(民法709条)。

しかし、加害生徒が小学生以下の場合、本人の責任能力が認められないのが一般的です。こうした加害生徒本人が責任無能力者の場合には、「監督義務者」として、その親が代わりに責任を負います(民法714条)。

一方で加害生徒が中学生以上であれば、損害賠償請求が認められる可能性があります。しかし、通常、まだ学生である加害生徒本人には支払い能力がないため、損害賠償請求をしても意味をなしません。

そこで、加害生徒に責任能力が認められる場合であっても、「その親が監督義務を怠っていなかったか?」というところを論点に損害賠償請求が行われるのが一般的です。

実際、責任能力があるとされた加害生徒の親に対して、監督義務違反を認めた判例もあります。

学校側に問える責任

学校は、「安全配慮義務」というものを負っています。これは、学生が安全に学校生活を送ることができるよう、適切な配慮を行う義務です。

いじめに関して学校側に対し損害賠償請求をする場合、この安全配慮義務の違反を法的根拠として行われるのが一般的です。安全配慮義務違反があれば、債務不履行や不法行為に基づく損害賠償請求が認められます。

具体的には、「いじめを知っていたにもかかわらず、無視をした。」「適切な対策を何ら講じなかった。」といった場合には、学校側に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

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いじめた子の親や学校に内容証明を送るメリット

「いじめを知らなかった」という言い逃れができなくなる。

内容証明は、その文書内容や送付日時を郵便局が証明してくれる郵便サービスです。

そのため、いじめの事実や被害状況を明確に訴える内容証明を送付すれば、それを受け取った相手の親や学校は「いじめを認識していなかった。」「何も知らなかった。」という言い逃れができなくなります

上で解説した損害賠償請求を進める際にも有利となり得るでしょう。

事の重大さ、こちらの真剣度が伝わる

内容証明でいじめの事実や被害を明確に訴え、その法的意味や重大さ、また法的手段に出る覚悟があること等を伝えれば、相手にとってプレッシャーにもなるでしょう。

とくに、専門家が関わっている内容証明では、その効果がより期待できます。(☞内容証明を専門家に依頼するメリットや費用はこちら

口頭でいくら訴えても状況は変わらなかったが、内容証明を送付したら動いてくれた…というケースは、少なくありません。

まとめ

今回は、子どもが学校でいじめられているケースにおいて送る内容証明郵便について、くわしく解説をしました。

最後に、押さえておきたい大事なポイントをまとめたので、チェックしていきましょう。

・いじめは、民法上の「不法行為」にあたり得る。

・いじめた子の親には監督義務者としての責任を追及できる。(いじめた子の年齢(責任能力)にかかわらず)

・学校側に対しても、安全配慮義務違反を法的根拠として損害賠償を請求できる可能性がある。

・内容証明を送ることで、相手が「いじめを知らなかった」と言い逃れできなくなる

・内容証明を送ることで、事の重大さや真剣度を伝えプレッシャーを与えられる

いじめは、子どもだけでは解決に至らないことが少なくありません。時間とともに、状況がどんどんと悪化していく可能性もあります。

いじめられている子どもが、一刻も早くつらい状況から抜け出せるよう、親として適切な方法で手を差し伸べてあげることが大切と言えるでしょう。

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