内容証明を受け取り拒否された時の対処法

ここでは、内容証明を送ったにもかかわらず相手に受け取り拒否されてしまった場合について、解説しています。

受け取り拒否されたときに、差出人がとれる適切な対処をいくつかご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

なお、内容証明が相手方へ届いたけれど返事がない場合については、「☞返事がない場合はどうする?内容証明送付後の対処法を紹介」でご確認いただけます。

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内容証明の「受け取り拒否」とは…?

内容証明の受け取り拒否と言えるケースには、主に以下の2つがあります。

内容証明の受け取りを直接拒んだケース

内容証明は、ポストへの投函ではなく配達員から直接相手方へ手渡されますが、この際、相手方がサインを拒んで受け取り拒否をしたり、自分宛ではない等と主張して受け取り拒否をしたりすると、配達員は持ち帰るしかありません。内容証明とはいえ、受け取りを強制することはできないのです。

こうした場合、内容証明は、差出人に返送されてきます。返送されてきた内容証明には、受け取り拒否がされた旨のメモが貼られていることもあるでしょう。

居留守を使って内容証明を受け取らなかったケース

相手方が、内容証明を受け取りたくないがために居留守を使うケースもあります。

この場合にも、配達員は内容証明を持ち帰るしかありません。

ただし、この場合では、まずポストに「不在票」が投函され、7日間は郵便局にて保管されます。この7日間の間に相手方から再配達の依頼があれば再配達されますが、あえて居留守を使ったのであれば再配達依頼は来ないことがほとんどでしょう。この場合は、やはり差出人の元に内容証明が返送されてきます。

なお、このケースでのメモ書きは「留置期間経過」や「相手方不在」が一般的です。

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内容証明はどんなケースで受け取り拒否される?

内容証明が相手方に受け取り拒否されるケースは、さほど多くありません。

なぜなら、何の心当たりもない相手に内容証明が配達された場合、相手が内容証明に書かれている内容を推測することは難しく、その状況で受け取り拒否という行動に出ることは考えにくいからです。

しかし、相手に心当たりがある場合は別です。

例えば離婚トラブルが発生しているケースで内容証明が配達された場合、相手が「おそらく離婚に関わることだろう」「受け取ることで自分にデメリットが生じるかも」等と考えた場合、受け取り拒否をする可能性はあるでしょう。

そのほか、クーリングオフ通知等、内容証明を日常的に受け取っている会社などでは、「またいつもと同じ内容証明だろう」受け取り拒否をすることもあります。

受け取り拒否した相手方の「受け取っていない」は通用する?

内容証明を受け取り拒否した相手方が「そんなもの受け取っていない」「知らない」などと主張した場合、その主張は通用するのでしょうか?

これについて、最高裁判所の判示があります。相続トラブルにおいて、届けられた内容証明が居留守で受け取り拒否されたケースでの判示です。

内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。

要は、「相続トラブルに関係する重要な内容が書かれている内容証明と知りつつあえて受け取らなかった」「受け取る意思があれば簡単に受け取れたにもかかわらず、あえてそれをしなかった」等の事情を考慮すれば、内容証明は相手に届いたと言える、ということです。

「そんなもの知らない」「受け取っていない」という主張は通用しないと判断されたわけですね。

「受け取っていない」が通用しない2つの条件とは?

上で紹介した判示では、以下2つの項目を踏まえたうえで、「内容証明は相手方に届いたと言える」と判断されています。

①「内容証明の内容を十分に推知することができた」

つまり、その内容証明が重要な手紙であると知らずにうっかり受け取り拒否してしまった場合などでは、上記判示が適用とならず、「そんなもの届いていない」「内容証明なんて知らない」といった言い逃れが成立し得るということです。

➁「受け取る意思さえあれば、さしたる労力、困難もなく受け取れた

相手方が入院していた、長期の遠方出張で不在にしていた、など簡単に受け取れない事情があった場合にも、言い逃れは成立し得るでしょう。

内容証明を受け取り拒否されたらどうすべき?

ここまで説明したように、相手方が「重要な内容であると十分推知できたにもかかわらず受け取らなかった」「受け取る意思さえあれば簡単に受け取れたはずなのに受け取らなかった」といった場合は、内容証明は相手方に届いたとの判断がされる可能性は高いでしょう。

では、その場合、受け取り拒否されたまま何の対処もしなくて良いのでしょうか?2つのケースに分けてご説明します。

返事が要らない場合

自分の意思を伝えるのが目的の内容証明であり、相手の返事が必要ない場合(時効援用通知など)では、対処の必要はありません

前述のとおり、上記2つの条件を満たしていれば、基本的に内容証明は相手方に届いたものと判断されるからです。

返事が要る場合

一方、相手方の返事、アクションを要するケースでは、次の手を考える必要があります。

たとえば借金返済の催告で送った内容証明の場合、相手方に振り込みをしてもらうことが解決であり、内容証明を受け取ってもらわなければ一向に解決へと進みませんね。

どのような次の手が必要かはケースによってさまざまですが、具体例を2つご紹介します。

弁護士名義で改めて送る

内容証明に弁護士の名前が入っていることで、「受け取らないと裁判を起こされたりするのでは…」等とプレッシャーを感じる人は少なくありません。そのため、受け取りをしてもらえる可能性は高まるでしょう。

プレッシャーを与えるという意味では、程度の差はあれど、他の専門家に依頼した場合でも同様の効果が期待できます。

内容証明を専門家に依頼するメリットや費用相場を解説!

訴訟を起こす

相手方が受け取り拒否を続ける場合には、訴訟を提起するのも手です。

とくに、慰謝料をはじめとした金銭を請求するケースにおいては、早期の訴訟提起が得策となることも少なくありません。消滅時効というものがあるからです。

弁護士に相談し、支払督促や訴訟といった法的な手段を検討しましょう。

内容証明の後にとれる法的手続きは?裁判など5つの方法を解説

まとめ

今回は、内容証明を受け取り拒否された場合について、くわしく解説しました。

相手方が重要な内容であると十分推知できたのに受け取らなかった」「受け取る意思さえあれば簡単に受け取れたのに受け取らなかったといった場合には、基本的に、内容証明が相手に届いたものとみなされることが分かったと思います。

しかし、自分のケースが上記2つの条件を満たすかどうか判断するのはなかなか難しいでしょう。

また、上記条件を満たしていても、相手方の返事・アクションを要するケースでは、次の手を検討する必要があります。

そのため、内容証明の受け取り拒否に困ったら、一度弁護士に相談してみるのがおすすめです。

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