法的トラブルが生じた際に用いられることが多い、内容証明郵便。
上手に活用すれば色々なメリットを得られるものですが、トラブルの内容や文面によっては、逆にデメリットとなってしまう場合もあります。
こちらのページでは、そんな、内容証明郵便のデメリットとなり得る点をまとめ、分かりやすく解説しました。
一方のメリットや内容証明に期待できる法的効果などについては、「 ☞内容証明の効果が知りたい」のページでくわしくご確認いただけます。
それでは、さっそくデメリットになり得る4つのポイントを見ていきましょう。
デメリット1:逆に解決から遠ざかってしまうケースもある
事案にもよりますが、内容証明を送ることで、相手方の非を責めたり責任を追及したりする意味合いとなるケースは多いです。そうした場合、相手方が「そっちがそのつもりなら裁判を起こしてくれて構わない」といった強硬姿勢に出てくる可能性もあります。
相手も本来は負担の大きな裁判等は避けたいはずなので、やり方によっては整序的に解決できたはずのトラブルが、内容証明の送付により逆にこじれてしまう、というケースもあり得るということです。
また、できれば関係を悪くしたくない相手の場合にも、同様の理由で、すぐさま内容証明を送ることはおすすめできません。これまで築いてきた関係性が崩れてしまう可能性があることも考慮したうえで、内容証明を検討する必要があります。
このように、内容証明郵便は、送ることで逆にデメリットが生じるケースもあるということを知っておきましょう。
デメリット2:文面によっては「脅迫罪」などと言われるおそれがある
内容証明の書き方、使う文言・表現等によっては、「脅迫」「恐喝」であると捉えられてしまうおそれもあります。
こうした指摘をされるような事態になれば、トラブルは解決どころかあらぬ方向に進んでしまいます。
心理的な圧迫を与えることも内容証明に期待されるひとつの目的ではありますが、行き過ぎた文面にならないよう、十分な注意が必要です。
「脅迫罪」とは?
第222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
「恐喝罪」とは?
刑法第249条
人を恐喝して財産を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
デメリット3:相手方にとって有利となる証拠を与えてしまう可能性もある
内容証明のなかで書く内容によっては、今後のことを考慮すると本来は相手方に伝えない方が良い情報まで、伝えてしまう可能性があります。
内容証明を書くときには、その目的と期待する効果をしっかりと把握・整理し、必要なことのみを簡潔にまとめることが重要と言えるでしょう。
デメリット4:手続きを終えた内容証明郵便は撤回ができない
ほかの手紙と同様、一度送った内容証明を撤回することは基本的にはできません。
そのため、郵送手続きをする前にはいま一度、上で解説した各デメリットも考慮しつつ本当に送って良いものかどうかを考えましょう。
もし心配なことや気になることがある場合には、一度持ち帰って検討し直すことも大切です。
なお、郵送手続き後に「やっぱり送らない方がよいかもしれない…」等となった場合、すぐに「取り戻し請求」という手続を行えばキャンセルできる可能性もあります。この取り戻し請求手続きについては、「 ☞取り戻し請求とは?」でくわしく解説しています。
内容証明を出すなら専門家に相談するのがおすすめ
ここまで、内容証明がデメリットになり得るケースについて紹介してきましたが、自分だけで判断するのは難しいこともあるでしょう。
少しでも不安がある場合や疑問を感じる場合には、弁護士や行政書士など専門家に相談するのが安心です。自分にとってデメリットが生じないよう、適切な文面の内容証明を作成してくれます。
もちろん費用はかかりますが、それ以上のメリットが得られることが多いので、内容証明を送りたい場合にはぜひ専門家への相談を検討しましょう。
まとめ
今回は、内容証明郵便の送付においてデメリットとなり得る点をご紹介しました。
最後に、押さえておきたい主なポイントをおさらいしておきましょう!
・相手が逆に強硬姿勢に出てしまう場合もある
・相手との関係性がこじれてしまう可能性がある
・文面によっては脅迫、恐喝等と捉えられる可能性がある
・文面により相手に有利となる情報を与えてしまうおそれがある
・一度送ったら基本的にはキャンセルできない
・内容証明を送るなら専門家に相談するのが安心